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 日本組織細胞化学会理事長  小澤 一史 2020 年 1 月 1 日付けで、輝かしい伝統と実績を有する日本組織細胞化学会の第 13 代理事長に就任致しました、日本医科大学 大学院医学研究科 解剖学・神経生物学分野の小澤一史です。これまで、学会理事、企画担当常任理事を歴任してまいりましたが、理事長という極めて責任の重い立場に就任し、新たな学会運営、学会発展に向けて一言御挨拶申し上げます。

 

 日本組織細胞化学会は、1960 年に別々に発足した「日本組織化学会」と「組織化学会」が 1968 年に合流、統一されて、新たに「日本組織細胞化学会」として発足したものであり、特定の分子の局在や発現状態について、形態学を基盤として定量的、定性的に解析し、更に細胞の生理的、病理的変動と相関する物質基盤、分子基盤を解明することを目指す研究者の集まりです。組織化学的手法は日進月歩の発展を示し、形態科学の世界において、極めて基本、基盤となる研究手法として認知されて参りました。DNA から発信される遺伝情報が mRNA を介してタンパク質へと変換される過程において様々な生命現象を生み出し、そして「形(かたち)」という現場を作り上げていきます。この過程を「形態学」の場と「生化学」、「分子生物学」といった物質科学の場を融合して多角的に、また動的に観察する研究手法が組織細胞化学であり、これまでに多大なる研究への貢献をなしてきた世界です。日本においては Takamatsu-Gomori 法によってアルカリホスファターゼ活性の視覚的検出法を開発した高松英雄先生(本学会初代理事長)、酵素抗体法を開発し特異的抗原の局在を視覚化する免疫組織化学法の発展に大きな足跡を残された中根一穂先生(第 6 代理事長)といった偉大な先達をはじめ、多くの優秀な組織細胞科学者が世界的な活躍を残してきております。

 

 現在では、さらに組織細胞化学は進展し、遺伝子工学、live imaging、幹細胞を用いる再生医学、GFP を代表とする光学遺伝子技法なども組み込んだ「新しい組織細胞化学」も融合して、まだまだ様々な進化が望まれる分野になっており、本学会はそれらの研究を活発に行うエキスパート集団として社会に貢献し続けています。

 

 本学会では、総会・学術集会を基盤に、組織細胞化学講習会、学会基幹誌である Acta Histochemica et Cytochemica の発行を通して伝統の継承と新しい伝統の付加を続けています。現在、約 700 名弱の会員数ですが、昨年より「Back to a thousand」をテーマに、改めて強固な学会構築へ向けた計画が練られ、小路前理事長の跡を継いで、それらの具現化が私の理事長としての役割と心得ております。学会の活性化、財政の健全化、ダイバーシティの促進、次代への橋渡し、何よりも学会員にとっての魅力とメリットをより明確にしていることが重要と考えています。

 

 日本の組織細胞化学の力は今でも世界の第一線ではありますが、さらにその域を高め、伝統と高質、高い信頼を有する研究者集団を目指して、皆様と力を合わせて学会発展に全力を尽くしたいと思います。更なる積極的ご参加と一層のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

日本組織細胞化学会理事長  小澤 一史